月と太陽Ⅱ
だとすると謎は最後の一行。
"伝えられた事柄は真実を語りはしない"
この一行だけがどうしたって
からない。
"伝えられた事柄"、つまり自分たちが見た夢は嘘だという事なのだろうか。
いや、ちがう。
おそらく"伝えられた事柄"とは人から伝えられた事という意味だろう。
だとするとこの文は自分たちが見た夢とは関係がないという事になる。
そうなると真実を知るために自分たちに過去を見せられたというのはつじつまが合わず、おかしな事になる。
エセルはわけが分からなくなったため、ふうと深い溜め息をもらした。
「どうしたの、エセル」
ふいにフェリアが顔をのぞき、聞いてきた。
エセルは「何でもない」と微笑み返した。
「そろそろベルガ橋だな」
サスティンが辺りを見渡しながら言った。
サスティンの言葉にレオルがゆっくりと頷く。
エセルも考えるのをやめて、辺りを見渡してみた。
少しずつ辺りの様子が変わってきていた。
紫の果実や緑色の木々も今では見えなくなっていた。
逆にうすく淡い色をした葉が目立つようになっていた。
「ユサはどんな所なんだろう」
エセルが独り言をつぶやいた。