月と太陽Ⅱ
そんなエセルにサスティンは首を傾げながら不安そうに言う。
「俺も考えてはいたが、全くわからなかった。本当に分かったのか?」
その言葉にエセルは深くうなづいた。
そしてゆっくりと説明を始める。
「あの標識は誰かが何かを伝えたくて作られた物だと思うの。
簡単に訳すと"記憶を求めて真実を知れ"って事になる。
誰が何のために真実を知ってほしいのかは分からないけど私たちはその真実をつきとめなければいけないと思うの。
"伝えられた事柄は真実わ語りはしない"。
つまり私たちが知っている歴史は本当ではないということ。
この国のためにも歴史の真実を求める必要はあると思う」
エセルの説明にそれぞれがうなづきながら聞いていた。
サスティンはうつむいて考えながら聞いている。
「さすがだな」
レオルが感心したように声をもらした。
フェリアは笑顔で言った。
「ユサの村は歴史ある村で有名だから、記憶を求めるにはとてもいい場所ね」
フェリアの言葉にエセルはうなづいた。
二人の会話を聞いていたサスティンは「なるほど…」と声をもらすと続けた。
「事柄が何なのかは分かっていたんだがほかは全く分からなかった。やはりエセルには勝てないな」
そう言うとエセルにふふっと笑った。
エセルもまた、微笑む。