月と太陽Ⅱ
レオルは真剣な面もちで早々と言う。
エセルはその言葉にうなづくとサスティンの腕を自分の肩におき、かつごうとしたが、上手く力が入らないため立ってもすぐにふらつく。
「俺がする」とレオルがサスティンをかついだ。
こういう時に大人はとても頼りになる。
エセルはサスティンをかついだまま歩くレオルを見て思った。
そしてレオルの後ろをエセルとフェリアがついていく。
三人とも少し小走りだ。
エセルに一筋の汗が流れた。
焦りと緊張の汗だ。
「大丈夫か?」
優しくレオルが背中にもたれかかっているサスティンに聞いた。
サスティンは目を少し開きながらかすれた声で言った。
「目が、かすれたきた」
消え入るような声で言うサスティンは目がうつろだ。
レオルはそんな少年を見ながら重々しく言った。
「まずいな。思ったより毒の廻るのが早いようだ」
その厳しい顔つきは事態の深刻さを表していた。
そしてエセル達二人を見ながらゆっくりと口を開いた。
「もってあと一日だ」