月と太陽Ⅱ
彼女が言ったとおり、森を抜けるのはそう遅くなかった。
しばらくすると木々が見えなくなり、目の前には透き通ったきれいな水が流れる川が現れた。
川幅は長く六メートルは故にこえているだろう。
川にかかっている大きな橋は石で作られとおり、手すりはないため落ちやすいが幅の広い橋なため、よほどのことがない限り落ちはしないだろう。
馬車なども通るため、幅はそれに合わせているようだ。
ベル側の向こう側には村が見えていた。
川のすぐそばにあるため、この位置からでもよく見える。
エセルたちはソフィアの後をついて、橋を渡っていく。
ずっとサスティンをかついでいるレオルは汗をかいており、少し弧を描いているだけの石橋でも足はふらつき、きつそうだ。
エセルはそれに気がつき、レオルを支えながら橋を渡った。
するとレオルは優しく「ありがとう」と言った。
そう言って微笑むレオルに顔が赤くなっているのがバレないようにエセルは顔を背けながら「ううん」と小さく言う。
レオルの行動が気になって仕方がない。
こんな気持ちは初めてだった。
そんな事を考えている内にソフィアが口を開いた。
「着きました。村長のいる所へお連れしますので付いて来て下さい」
その落ち着いた口調に三人はうなづいた。