月と太陽Ⅱ
そう言うと少し間を空けて言う。
「さそりの毒には強力な邪気があって、それが刺された者の命を奪ってゆく。刺されて助かった者は一人もおらんのじゃ」
誰かがゴクリとつばを飲み込む音がした。
エセルは自分の血の気がサーッとひいていくのが分かった。
この瞬間、サスティンの死が確実に決まったように思えたのだ。
「そんな…」
フェリアは一言、声をもらすとその場に泣き崩れた。
レオルは状況が唐突すぎて、率直に受け取ることができないでいた。
「しかし――」
ノザの言いかけた言葉にフェリアは泣きながらノザを見つめる。
レオルやエセルもすがるような目でノザを見た。
ノザは重々しく言う。
「"治せるかもしれない薬"は知っておる」