月と太陽Ⅱ
その言葉に三人は立ち尽くした。
エセルはレオルにおぶられ、ぐったりしているサスティンを見た。
そして強い意志をこめた瞳ではっきりと言った。
「どんなことがあろうと仲間の命を助けるためでなら行きます」
それを聞いたソフィアは驚いた。
仲間のために自分の命がなくなる事を覚悟して"あの森"に行こうとしているのだから。
幼い頃からまるでお伽話のように聞かされ、村人から恐れられているあの森に。
同じ事をノザも考えていた。
ノザはうつむくとエセルに向き直り、言う。
「そうか…ならば止めはせん。しかしどんな事があるか分からない危険な森じゃぞ?」
「はい」
エセルが答える前にレオルが前に進み出て言った。
その言葉には強い意志が感じられた。
そんなレオルを見てエセルは驚き、やがて温かく微笑んだ。
ノザは強い決意をひめた三人を見ると深く重々しい声で続けた。
「ではその少年をここにおいていきなさい。少しでも毒が早く廻らないように何か方法を考えておくわい。ソフィア、その少年の世話をしておやりなさい」
「分かりました」
ソフィアは落ち着いた声で返事をするとサスティンをベッドの上に寝かせた。