月と太陽Ⅱ
「あの男?」
フェリアが不安げに声をあげる。
「つまり森の主というのは男なんじゃない?」
エセルがさらっとした口調で言った。
その言葉を聞いて「なるほど」とフェリアが関心したように言う。
「それよりも重要なのは"アイラ様"っていう所よ。なぜ五百年も前の王女が出てくるのかしら。しかも太陽の初代王でしょ?」
エセルが顔をしかめながら呟いた。
そんなエセルを見ながらフェリアがクスッと笑う。
「これを書いた人が月をスパイしていた太陽側の人間だったってことじゃない?」
冗談っぽく言うフェリアに対してエセル、レオルは真剣な顔つきで文字を見ている。
しばらくするとレオルが重々しい声で言う。
「確かにそうかもしれないな。しかしおかしくないか?どうして……」
続きを言いかけたレオルの声を遮ってエセルが大きな声で言う。
「見て!あそこにもある」