月と太陽Ⅱ
エセルが指差したのは一際大きい木だった。
ほかの木はヒョロっとしていて細長く、高くて天井のように枝を伸ばしているがその木だけは図太く、どっしりとしていて高くなかった。
まるで標識があったあの木のようだ。
文字を見てためらいを隠せないエセルは声を震わせながら言った。
「どういう事?この文章を書いていたのは森の主だというの?」
エセルの顔が強張る。
後で駆けつけた二人も文章を見る。
二人の顔つきが変わった。
エセルと同じように動揺を隠せないようだ。
「そうらしいな。しかもこれはどうやら五百年前には書かれたもののようだ。アイラ様がまだ生きていらっしゃっている時に書かれたものらしいからな。しかしどうもおかしくないか?」