3つ感情をなくした彼女〜左耳にピアスの穴




恭介は気付いた、この前は喋れなかったのに今はすんなり喋りかけれる。



「君、名前教えてよ。俺は雪村恭介」



「貴方に教える義理はありません、早く自分の教室に戻らないとテスト始まりますよ」



「あっ……名前だけでも教えてくれない?」



「あたし、馴れ馴れしい男大っ嫌いです。一刻も早くあたしの前から消えてください」



最後は強い口調になり、自分の席へ帰っていった。



「あちゃー最悪の印象与えちまったか」



頭をポリポリ掻きながら、彼女の名前を想像する恭介。



「美奈子……彩……洋子、慶子。どれもしっくり来ないな」



まだ帰らない恭介の姿を見兼ねて、彼女は消しゴムを恭介に投げ付けた。



「……鼻にクリーンヒット、痛いわ」



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