3つ感情をなくした彼女〜左耳にピアスの穴




「何……だと?」



教頭と恭介が一触即発の空気を遮断するように校長が制止する。



「教頭先生落ち着いて下さい。まだ彼らに説明してないのだから、逆なでるような言葉は慎んで下さい。君も、一緒に立ち会ってもいいから大人しくしなさい」



校長によって教頭は簡単に身を引いて黙る。年功序列、縦社会は正にこういう意味だよな。



「昨日、夕方に自転車に二人乗りした少年がひったくり事件を起こした。犯人はすぐに捕まり、咲本くんに指示されたと供述した」



「おい、何言い出すんだよ、ひったくり?知らねえよ俺は関係ねえ。誰だ、んな出鱈目な供述した野郎はよ!」



無茶苦茶な言い掛かりにキレたミロクは、怒号を上げ校長に詰め寄る。



「君のクラスメイト、そこに並んでる子たちだよ」



冷静に事実だけを述べる校長。後ろを振り返り無実の罪をきせようとするクラスの連中……冷徹な瞳で見る教師、全てのモノが敵に見えた。



< 136 / 218 >

この作品をシェア

pagetop