3つ感情をなくした彼女〜左耳にピアスの穴




キーンコーンカー……チャイムが鳴ろうが関係ない恭介の性格は思い立ったら吉日だ。



「君、テスト始まるぞ、自分のクラスに戻りなさい」



「すんません、すぐに帰りますから」



教師の制止を振り切り、彼女の居る席へ向かう。



「いたいた。ごめん、さっき消しゴム返すの忘れてた、はい」



机にそっとピンク色の消しゴムを置いた。



「美雪さん、知り合いなの?」



「いえ」



「美雪って言うんだ、俺は雪村だから同じユキが付くんだ」



俺は教師から出た名前を聞き逃さなかった。彼女の名前だけだが間接的に知ることに成功し喜ぶ。



「用が済んだら戻りなさい」


「はいはいっ……いぎっ?」


足に激痛が走る、恐る恐る視線を下へ向けると美雪がグリグリと恭介の足を踏ん付けていた。



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