3つ感情をなくした彼女〜左耳にピアスの穴




「雪村、遅いぞ」



「悪い、途中で香奈子の母さんと美雪に会ってよ」



「美雪……?」



香奈子は美雪の名前が聞こえると眉間にしわが寄る。


「でさ、香奈子の母さんに美雪の病気について聞いて欲しいんだよ。俺らが思ってた以上に重い病気らしくて肩に触れただけで……」



「……しろよ」



ペラペラと美雪の話ばかりする恭介、次第に我慢の限界の糸が切れる瞬間が香奈子に訪れる。



“いい加減にしろよ!美雪美雪って、朝から晩までタコが出来るくらい言いやがって。そんなに気になるなら自分で聞けよ!んで、とっとと告りやがれってんだバッカヤロー!”



堪忍袋が破れた香奈子。罵声を恭介に浴びせプンスカ気分で帰っちゃった。



「香奈子」



「お兄ちゃんって、罪な男ね」



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