3つ感情をなくした彼女〜左耳にピアスの穴




その日の夜、結衣が就寝した頃に黙々と俺は作業をしていた。



布を裁断しカタカタとミシン音を奏でる。家庭的な恭介は家事全般お手の物。



「よし、これで棒を縫い付けてアップリケを貼れば……」



彼は今度の土曜日に計画を企てていた。その計画の為に寝る間を惜しんで裁縫を行っている。



裁縫作業を終え、次の工程はクレパスを取り表紙らしきものに絵や字を書き記す。中身は白紙十数枚をスケジュールみたく書いてゆき、ホチキスで留め出来上がり。



「完璧だ、俺って天才じゃん?」



俺は手作り栞と旗を高々と挙げ、自分の器用さに惚れ惚れ。



「夜中に元気だね」



「ほぅあっ……ふぁっほっへ」



背後から結衣が瞼を擦りながら恭介に声をかけ、恭介は心臓の鼓動が極端に速くなり肝が飛び出そうになった。



「はあ、マジびっくりしたなもう。寝たんじゃないの結衣」



「ミシンの音うるさいんだけど」



「ごめんなさい……」



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