3つ感情をなくした彼女〜左耳にピアスの穴




「何が可笑しいのよ、馬鹿にしてるわけ?」



「いや、ごめん。敬語からタメ口で怒ってくれるようになったなぁって思ったら、つい」



「…………」



5秒間のインターバルが開く。美雪の唇がピクピク震えていた。



「貴方と会話してると、こっちが頭おかしくなる」



両目を閉じ前髪をくしゃっと掻き分けながら、美雪は音楽室から飛び出そうとする。



「待てよ、忘れ物たくさんあるぜ」



フルートと楽譜、鞄を抱え恭介は美雪に駆け寄る。



「そこに置いておいて下さい。無意識に飛び出したい衝動にかられただけですから」



「説明口調だな。なら待ってたら戻ってくるの?」



「………………」



10秒間のインターバルが開いた。



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