3つ感情をなくした彼女〜左耳にピアスの穴




同時刻、恭介は香奈子の母親と話をした。内容は美雪について。



栞やキャンプについては後日、恭介本人から香奈子に伝えることにした。



美雪の全てを知ったわけではないが、美雪が経験してきた苦い想いを少しだけ知り胸が苦しく感じながら帰り道を歩いていた。



「雪村……」



「香奈子……」



タイミングが良いのか悪いのか交差点でばったり香奈子と恭介が顔を合わせた。


「ちょうどいい、香奈子に用があって香奈子ん家に寄ってきたばかりなんだ。今、時間あるか?」



「用って何だよ、時間はあるけどよ」



香奈子の制服は泥だらけでリボンも解け破れかけていた。



二人は幼い頃から行きつけであるラーメン屋に立ち寄る。



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