3つ感情をなくした彼女〜左耳にピアスの穴




「……ゴホッゴホッ、目に染みる。えーっと話ってのは今度の土曜日に皆でキャンプに行く計画立ててんだ。香奈子も来いよ」



「皆って誰だよ」



「ミロクと彼女に結衣と彼氏……あとは美雪だよ。香奈子、まだ怒ってる?今日も学校休んだくらいだし」



香奈子が機嫌が悪いのは自分のせいだと思ってはいるが、美雪が原因だとは恭介自身鈍感により気づいてない。



「別に怒ってねえよ。休んだのは、かったりいし他校生と喧嘩してたからだよ」



「また喧嘩かよ。お前も女の子なんだからさ、顔とか怪我したらマズイじゃん。もう喧嘩は止めろよ」



「うっせえな、あたしの人生どうしようが勝手だろ。雪村に言われる筋合いないね」



段々と空気がピリピリ重くなる。



「そういうこと言うなよ、俺だって心配してんだぞ!」



「余計なお世話なんだよ、キャンプなんか勝手に行けばいいだろ!美雪と何処へでもよ」



「あー頭来た!そうかよ、いいよじゃあ来なくても。誘って損したわ」



俺は苛ついてテーブルに代金を叩きつけ暖簾をかい潜り店を出た。



美雪にも香奈子にも自分の想いが中々伝わらなくて、心の奥底でむしゃくしゃした気持ちが一気に爆発して香奈子に八つ当たりしてしまう。俺は家に帰ってから後悔していた。



久々に喧嘩したな、香奈子と。



香奈子も俺と同じ想いで苛立っていた理由を知るのは、もう少し先。



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