白衣越しの体温
紫乃宮は宣言したとおり自力で塀を飛び越えてきた。
噂には聞いていたが、並大抵の身体能力ではないらしい。
「まぁ、コツを掴めばこんなもんちょろいぜ!ふはは!見たかコノヤロー!」
しかし、紫乃宮は状況を把握しているのだろうか。
ただ・・・空気が読めないのか?。←失礼
まったく慧の考えていることが予測できない俺は軽く混乱状態にあるのだろう。
「・・・まぁ、とりあえず。座って話すか。」
と呑気な言葉しか口にすることができなかった。
さっきまでの険悪な空気はどこへやら、慧は疑問に思ったことを一つ一つ順序よく確かめていった。
「ふーん、そう。」
左上に視線を泳がせ少し考える素振りを見せたあと、声に出して確認しはじめた。
「つまり、この場所を発見したのは紫乃宮で。」
「ん。」
「そのときに九鬼島に会ったと。」
「おぅ。」
「そして、寝ぼけたコイツに絡まれて救援を呼んで杏條と藤堂が来た。いいな?」
「そー。」
「そやで。」
「で、ごちゃごちゃ言ってたら九鬼島が起きて、この場所を知られたくなかった九鬼島は取引を持ちかけたと。」
「「「ん。」」」
「で、別にどうこうしようってつもりはなかったけど、面白そうだし悪乗りしとくか!みたいな?」
「「「そのとーり!!!」」」