白衣越しの体温
「ふぅっ…」
ソファにもたれて一息ついた頃。
俺はだるくてだるくてなにもする気がおきなくなっていた。
煙草の煙を目で追って空にとけていく様子をじっと眺める。
落ち着きを取り戻さないと、このままじゃやってられない。
自分の中で解決をつけようとすればするほど、身動きがとれなくなる。
いっそ、ほおっておいて、早く忘れるべきだろう。
そう無理矢理考えをまとめたそのとき、
部屋にチャイムの音が鳴り響いた。
……ほっといていいだろうか。
いいわけがない。誰だよこんなときに。帰ってくんねぇかなぁ…。
そうだ、後十秒待ってまだいる様なら出よう。
しかし俺の甘えは見事なまでに無視されて三秒あまりで玄関へ向かうはめになる。
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン!!!!!!!
「うるせぇ!!」
すごい勢いでチャイムを連打され、あまりの煩わしさに重たい体をたたき起こして玄関へ向かった。
まったく、何者だよ!
俺が、意地でもでなければよかったと思うまであと三秒。