白衣越しの体温




「あぁー…なんか久々に笑いこけた気がするな。」


「自分もです。」

なんとなく口にした言葉に俺たちは顔を見合わせて小さく笑った。

時計を見やると針はもう8時に差し掛かっていて、こんなに時間が過ぎるのは早かったか、と思った。

「では、そろそろ夕飯でも作りますかね。」

「あぁ、頼む。親にはちゃんと連絡しておけよ。」


「了解です。」


返事をした九鬼島は早々に台所へ向かった。


俺はそっと目を伏せた。





「……………。おい、九鬼島!!」




ぱたぱたぱたっ




「な、何でございましょう。というか、大きい声出せたんですね…。」

「ちょっとケータイだせ。」

「はぁ…。」

なにがなんだかさっぱり分からないといった様子で九鬼島はケータイを俺に手渡した。

「ちょっといじるぞ。」

「かまいませんが。仮にも女子のケータイを平然といじる教師ってどうなんでしょう。」

「ふっ」

ちょっとなんですかふって、ふって…なんで鼻で笑ったのですか。

なんて隣で騒いでいる九鬼島をよそに俺は作業を終わらせた。
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