白衣越しの体温
「お前も、いうなよ?俺の唯一の憩いの場所なんだからな。」
「教師としてそれはどうかと…」
「あ…」
突然声をあげた九鬼島。
なにかと思い声の主に向き直ると
九鬼島の前でしゃがんでいた俺にすっと九鬼島の白くて長い手がのびてきた。
「桜…ついてます」
そっと俺の髪にのっていた桜をとり、離れ際にさらっと髪をすいてから離れていく。
にこり
目があった。
あ…じっくりと見たのは初めてだ。透き通るような肌に大きな目、長い睫毛。
みるみる顔が赤くなっていくのがわかった。
「ばっ馬鹿野郎!なっなにしてるんだ!教師を馬鹿にしてるのかっ」
「なにって…桜を払ったとしか…。大丈夫ですか?顔が赤いですよ?熱…?」
九鬼島の手は今度は俺の頬を捕らえコツンっと自分の額と俺の額をくっつけ熱を測りだした。
やっぱり少しありますね、と呟く九鬼島。
限界だ…
「おっおぃ、離せっ。
どういうつもりだ!おちょくってるのか!」
「そんなつもりは……。そんなあからさまに嫌がらなくてもいいじゃないですか…。」
しゅん、
「別にそういう訳ではっ…ただ……年頃の娘が男にあまり気安く触るもんじゃ…ない…」
「えっ…よく聞こえなっ「まあ、今のはいけねぇよ九鬼島。(天然か、)やたらに男に触ると危ない、とだけ覚えておけ。あんまり孝明を困らせんなよ、」
そう慧に助け舟をだされたはいいが…そのあと
惚れたか?手、だすなよな、生徒に(笑
と耳打ちされた。
お前もいちどされればわかるよ。九鬼島は、いろいろとたちが悪い。
「先生、そういえば…怒ってらしたみたいですけど」
突然話しを切り出した九鬼島は、まぁ、座って下さい、といわんばかりに自分の両脇をとんとんっと叩いた。
コイツは俺と慧が言ったことの意味が理解出来ていないらしい。
「だからそういうのがいけなっ」
すとん
「孝明、お前、意識しすぎだ」
隣に腰をおろし挑発的な笑みを向けてきた慧にむきになって勢いで隣に座ってしまった。
コイツ俺で遊んでいないか?