白衣越しの体温
俺を困らせてんのは慧、お前だとおもう。
しかし、なんだこの急展開は。
さっきまで悩みの種だった問題児が可愛く思えてきてしまうなんて、
まるで少女漫画のようだ。
だが、相手は生徒だ。俺が好意をむける相手ではない。
考えてもみれば異性にあんなことされれば誰だって少しはああなるものだ。
しかも相手はあの九鬼島だ。生意気だし人の話しは聞かんし俺に対して反抗的…だとも思ったが、あれは多分素からなんだろうな。
だが、とりあえず今は説教だ。聞きたい事もいろいろあった。
「順を追って質問する。1つめだ。なんで今日お前、職員室にこなかった。」
「その件は話しの中でお断りしたはずでは…」
本当に断りきったと思っていたのか。
「ほらな、」
慧の予想はよく当たる。
「…はぁ。お前の取り扱い説明書が欲しいよ。」
ため息交じりに切実な願いを皮肉って口にすると、
「すみません。…私、悪気はないんですが、いつも自分一人で完結させてしまってるようで…友人にもよく叱られます。」
なんて、素直に謝る九鬼島がいて、案外悪い奴ではないことがわかった。
怒る気も失せ、
「おぉ、いい友人をもったな。そいつは正しい。」
とコメントする。
この何気ない一言で九鬼島のあんな顔がみれると思わなかったが、…
「へっ…あっいや…////そうですね、はぃ。」
「っなんで友達褒められて照れてるんだ」
鉄面皮なこいつが赤くなっているのは…俺の目には少し可愛くうつった。
無論、教師としてだがな!
照れどころが可笑しいのも九鬼島らしい。
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