白衣越しの体温
〜つかの間の休息〜
あれからというもの、九鬼島は本当に保健室登校をしている。
当然俺の授業をうけることも無くなった。
俺は休み時間や授業がない時間に保健室に仕事を持ち込んでまでなにかと様子を見に行っている。
そして入学式からちょうど初めてにあたる休日に入ろうとしていた矢先のできごとだった。
金曜日だから、と酒でも飲むか、なんて慧を誘ったら、喜んで。との返事がかえってきた。
俺の部屋で飲むことになり、ちょうど飲み始めたとき、チャイムがなったのだ。
扉を開くとぶすっとしたようなしょんぼりしたような九鬼島が抱き枕と鞄を携え立っていたのだ。
そして、なにを言い出すかと思えば
「泊めて下さい、…」
ときたものだ。
男の家に一泊するなんて嫁入り前の娘がなんてことを…
「駄目に決まって…「なんだ、九鬼島じゃねぇか。どうした?」
後ろからひょっこり顔を覗かせた慧、なにも解っていない様子だ。
「っ………聞いてくださいっ!」
こうして九鬼島に火をつけてしまったのだった。
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