白衣越しの体温





がらり、と入ってきたのはきっと九鬼島へ相談しに来たやつなんだろう。

慧と九鬼島の眉間に皺がよった。


俺も正直いい気はしない。

なんだというんだまったく。人が話している最中に。


久しぶりに三人で会話しているというのに。



「あの・・・なんか、相談に乗ってくれるという話を聞いて来たんですれど・・・。あ、3年の鈴木といいます。」



おろおろとしながらやってきたその女生徒と九鬼島は、どんどん私物化されつつあるベットのカーテンの中へと消えていった。



まぁ、あと10分ほどの辛抱だ。

そのあとの時間はゆっくりできるだろう、と温かいうちにコーヒーを頂くことに専念した。







チャイムがなるころ、ほっとした顔で保健室をあとにした生徒を眺めながら嬉しそうな顔で九鬼島は戻ってきた。


理由を聞くと、


「鬼島様、本当にありがとうございました!今度お礼にお菓子もって来ますね!」



ということらしい。

現金な奴め。





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