言霊師
「…じゃあ、ヤキモチですか?」


昨夜と同じ姿で現れた彼は、いや、と短く答え、腰を下ろした。こんな風に部屋に突然現れるのは珍しくはないが、2日続けて来るのは初めてだった。昨日はこちらから呼び出したのだが、葛城に戻ってからまだ半日も経っていない。こんなに頻繁に俗世に来ても、良いのだろうか。と、ふと不安になる。


「…他の神に、睨まれませんでしたか…?」


知らず小さくなる声。葛城には他にも様々な神が住む。その神達の中には、俗世を汚らわしい物として嫌う者も居るという事は確かだ。
それを知っていて、一言主の身や立場を心配するヒョウリの問い掛けに、
彼は小さい笑みだけを返した。
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