言霊師
正直にそう言うと、青年は吹き出し、急に笑い出した。


『アハハハ!…悪い悪い!確かにそうだよなー』


朗らかに笑う青年を見て、敵ではないと判断したのか、恐る恐る声をかけてみた。


『日本人、ですよね?』


『ん?あぁ。生粋のな。』


“生粋”という意味を分からなかったのか、少女はしばし口ごもる。けれど、言霊を視る事でその言葉の意味を察する事はできた。取りあえず、日本人だという返事だろう。けれど、疑問はそれだけではなくて。


『何で…着物着てるんですか?』
< 128 / 235 >

この作品をシェア

pagetop