言霊師
最初に見た時は、その髪色から、

不良だ。怖い人だ。

そう思って疑わなかった少女だったが、青年が大声で笑った辺りから段々と打ち解けてきたようで、妙な緊張感は薄まっていた。その気の緩みからか、つい、新たな質問をしてしまった。


『此所で何してたんですか?』


『――秘密。
お互いに、それは聞かない方が都合良いんじゃないの?こっちが答えちゃったら、そっちも理由言わないと不公平だろ?』


青年は、少女が古びた神社で一人きりで遊ばなくてはならない理由を、全て知っているかのように笑った。
少し唖然とした少女は、次の瞬間、つられたように照れ笑いをしていた。
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