言霊師
しかも、勇次の存在よりも興味深い事を見つけたヒョウリは、言霊師だな?と聞かれた事を、見事に


「…あれ?あの人、テレポーテーションでもしたのかな。
こんなトコで気配が途切れてる…ムメさんを何処に連れてったんだ??」


無視した。

本人は無意識だったものの、勇次をさらに怒らせるのには充分すぎる態度だった。

故に、またもや勇次が物騒な言霊を吐き出したのは、言うまでもない事で。


「言霊師は敵だ。逃がすわけにはいかない…!」


何かが壊れてしまったのか、人や物を傷付ける事への恐れを忘れた彼が叫んだのは、「斬」という言葉。

“斬”(ざん)―――かまいたちのようになったその言霊は、ヒョウリ目掛けて凄まじい速さで飛ぶ。

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