言霊師
人間には飛んだのさえ見えない程の、速さ。

言葉師になれなかった恨みと、脅されている恐怖、

そして、ムメへの殺意と

一言主への憎悪。


それらが一気に込められた言霊は、真っ直ぐにヒョウリの首を狙った。


避けられるわけがない。


ないのに。


「……嘘だろ…」


「まだいたんですか。」


冷たい瞳に、勇次の体が凍て付く。

ヒョウリは、避けなかった。動きもしなかった。

言霊は、
首に触れる直前で制止していたのだ。

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