言霊師
勘で分かった。
時計を倒した、もう一人の言霊遣いだ。

向こうもさすがにヒョウリの視線に気付いたらしく、不思議そうな顔で話しかけてくる。


「え、友達?
初めまして♪勇次の親友の悠です!」


「初めまして。何年生ですか?」


当たり障りのない、むしろ好意的な笑顔で答えた。
ムメに脅された記憶も新しいので、すぐには名乗らない。


「勇次と同じ2年だよ。今年成人なんだー♪何で?」


「いや、大人っぽいなと思って。僕も2年なんですけどね。」


この言葉に驚いたのは、悠だけではなく勇次もだった。
そっちの方が大人っぽいだろう、と盛り上がる悠を適当に受け流しながら、ヒョウリは最も近くにいる敵―――悠の年と名という情報を得られた事に満足していた。
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