言霊師
「あの…シン様。俺の命は、今回関係ないと思うんですが。命を懸けてるのは、俺じゃなくて、ゆ―――」
「忘れたのか?」
確認をしようと連ねた言葉は、途中で遮られる。
そして、目の前の男の嘲るような笑い顔と、発せられる言霊に縛られ、身動き一つ取れないままの悠に浴びせられたのは、残酷な言霊。
「あの時、私からの伝言を読んだのだろう…?
“勇次への命令”などと、何処にあった?
最初からあれは、彼と君への伝言のつもりだったのだが…
君は、それを見事に読み違えてくれたようだ。」
実に面白い。
言霊を読み違える“遣い”など、良いお笑い草だよ。
そう付け加える慎は、とても…とても、楽しそうに笑っていた。