言霊師
今思えば、何の見返りも無しに言霊遣いになれたあの瞬間から
自分はもう、捨て駒として操られていたのかもしれない。

それに何の意味があるのかなど、決して知り得ない。けれど、今のこの自分に―――捨て駒に出来る事は……


女を始末するか


逃げる、か



「それとも…」


慎に知られたらすぐに始末され兼ねない第三の選択肢。
もし、決して声には出せないソレを選ぶなら…


「―――いや。俺的に、それはダメでしょ。
やっぱり、此所は漢らしく!
潔く行きますか~!」


捨てられた第三の選択肢は、慎を裏切る、というものだった。
< 178 / 235 >

この作品をシェア

pagetop