言霊師
予め地中に仕込んでいたのは、言霊ではなく、術。
それは、彼らと自分達をこの場から移動させる為のもの。幼い頃、大切だった人から教えられた陰陽術は長いブランクがあってもまだ健在だった。

冷たい言動をする程に、ヒョウリに慎の面影を見て、遣い達は必要以上に怯える。それを不愉快に感じたヒョウリは、脅すのをやめて式神とバス停に座っていた。

動けない人達が道にいると邪魔なので、言霊を使って道端に避け、一般人には見えないように隠すのは忘れなかった。


「勇次、まだ見つからないのかな。」


ヒョウリがすぐに移動しないのは、『捜』に頼んだ勇次捜索が終わらないから。
おとなしくしている遣い達と勇次を連れて、あの場所へ行くのだ。
遣い達は慎を呼ぶ為に必要なだけだが、勇次を解放させなければならないので、彼がいないと半端になってしまう。
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