言霊師
「生憎だけど、私達は死なないし勇次も助かる。」
慎と睨み合ったままだった氷理がハッとして声の主を見ると、不敵な笑みを浮かべる夢芽がいた。
「…だから、貴方は自分の散り様を考えたらどう?」
その拳が僅かに震えているのが、怒りからなのか怯えからなのかは分からないけれども。
「貴方が何者でも関係ない。」
彼女が神に愛された理由が、改めて分かった気がした。
「私達は、此処で朽ちるわけにはいかないのよ。貴方には解らないでしょうけど。」
「…成る程。では、見せてもらおうか。―――行け。」
目を細めた慎からの一言を機に、操られている悠と勇次が再び斬りかかってきた。
はずだった。