言霊師
そんな家の中には、言霊がウロウロしていた。

『犬』という言霊が駆け寄ってきたり、『眠い』が床を這っていたりと、なかなか面白く、そして、騒々しい。

言霊はずっと残るわけではなく、気が済んだら消えていく。同じ言葉でも、発した状態や気持ちによって性格はかなり異なる。


「あ、冷蔵庫の中身、ある?」


コピーさせたレポートをしまいながら、誰もいない空間に尋ねた。
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