言霊師
「簡単なのよ?意外と。
殺り方は自由なんだけど、仕上げが大事でね。
名前を言霊にして、消してしまうの。
そうすると、その言霊師はこの世から消えてなくなる。
…何も残らない。」


ムメが、抵抗できないヒョウリの事を今消そうと思っているならば、簡単にできるだろう。

名前を知っているのだから。

(…何のつもりだ。)


眼光をきつくしても、彼女は視線すら合わせてはくれない。からかっているのか、本気なのか。不安と緊張が頂点に達しかけたその時、急に縛が解け、はずみでその場に崩れ落ちた。


「…一言主から言われたわ。あなたに会って、私が知る限りの言霊師についての知識を伝えろ、と。」
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