言霊師
正確には、直接ムメが頼まれたのではなかった。今一族の長であるムメの祖父から、その命令を聞いただけだ。

言霊を消す力を授かった時以外は、一言主に会ったことすらないムメからすれば、一族ですらないのに何故ヒョウリを気にかけるのかと、多少腹立たしい。

義務を負う家系以外で言霊師になる人は、少ない。

そのほとんどが神に仕えるような者で、ヒョウリのような普通の青年は非常に珍しかった。


「理由は分からないわ。でも、神がそう言ったなら従う。
…私は、それだけの為に在るのだもの。

それでも、納得いかない。」
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