言霊師
その言葉に何故かニヤッと口端を上げた一言主は、その場に適当に座る。

先程文句を言われたその格好とはどのような物だったのか。

彼は最近、平安装束にハマったらしく、狩衣を着ていた。ただし、かなりラフに。

前ははだけ気味で、烏帽子は着けているものの、何となく…何となくだが、だらしない気もする。

しかし、フォローではないが、彼は眉目秀麗だった。切れ長の目は、キツい印象が皆無でむしろ優しそうに映る。

大人しく笑っていれば。

言葉の重要さを分かりすぎる程に分かっているはずなのに、言葉使いは良いと思えない。
本人は、うさん臭い物を見るような目で見られても、気にも止めないらしい。
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