言霊師
放課後とは言え、互いに授業が終わる時間は違うはずだが、偶然にも月曜日は午後一の授業で二人とも終わりだった。よって、授業後に時計台で会う事に決まったのだ。


「そういえば、アドレスも聞いてないや。何学部だ…?」


何も情報を得ていないに等しい相手を家に上げ、一緒に飲むなんて、ヒョウリにしたら有り得ない事だ。ただ、ムメが仲間だという事実だけで、十分だった。…確かに、途中、脅かされて命の危機を感じたりはしたけれど、彼女は、信頼出来る。

初めて出会えた言霊師だから。

あの神と慕い合う人だから。



―――自分も何か彼女の助けになりたいと、そう思うから。
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