人魚の涙 ~マーメイ・ドロップ~
「…何言ってるんだ、って思ってるでしょう?」








彼女は少し可笑しそうに…だけど、それでいて悲しそうに、僕に尋ねた。








「―――それは冗談?それとも―――」

「―――本当、よ」








………彼女の眼に、偽りなどなかった。
その漆黒の瞳から放たれている視線は、真正面から僕の方へと真っ直ぐに向けられていた。
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