人魚の涙 ~マーメイ・ドロップ~
「………そっか………。ありがとうね、流斗君」
「どう致しまして」
僕は彼女に礼を言われ、再び茹でタコのように紅くなっている頬を隠すように、そっぽを向きながらそう言った。
ここまで頻繁に紅くなってくると、幼少時代に発症した、林檎病と同じようなものではないのだろうか、と不安にもなってくるものだ。
「…本当に、凄く嬉しい」
彼女は目を細め、楽しそうにその場をくるり、と回ってみせた。
スカートが風に踊り、ふわりと靡(なび)く。
彼女は本当に嬉しそうにしていた。
………何故なのかと聞くと彼女は、誰かに信じてもらえたのは初めてだからと、そう言った。
少し照れ臭い気分になったが、誰かに尋ねたのも初めてだと、彼女は言った。
「なんだか、君は信じてくれそうな………そんな気がしたの。だって、海まで追い掛けてくる人なんて、いるとは思わなかったもの」
歩きながらこちらを見て、はにかむ。
「本当は、凄く怖かったんだからね?―――でも、心配だったから」
「それもそうね………。自殺スポットに人が飛び込んでいたら、誰でも驚くに決まってるわ。―――今度からは、控えることにしようかしら」
「そうしてもらえると、助かります」
僕と彼女は、顔を見合わせて少し笑った。
なんでもアソコが自殺スポットとして有名になったのは、彼女の飛び込みを目撃する人が多発したせいらしい。
なんども同じ人が飛び込む訳ないでしょう、と彼女は言った。
「どう致しまして」
僕は彼女に礼を言われ、再び茹でタコのように紅くなっている頬を隠すように、そっぽを向きながらそう言った。
ここまで頻繁に紅くなってくると、幼少時代に発症した、林檎病と同じようなものではないのだろうか、と不安にもなってくるものだ。
「…本当に、凄く嬉しい」
彼女は目を細め、楽しそうにその場をくるり、と回ってみせた。
スカートが風に踊り、ふわりと靡(なび)く。
彼女は本当に嬉しそうにしていた。
………何故なのかと聞くと彼女は、誰かに信じてもらえたのは初めてだからと、そう言った。
少し照れ臭い気分になったが、誰かに尋ねたのも初めてだと、彼女は言った。
「なんだか、君は信じてくれそうな………そんな気がしたの。だって、海まで追い掛けてくる人なんて、いるとは思わなかったもの」
歩きながらこちらを見て、はにかむ。
「本当は、凄く怖かったんだからね?―――でも、心配だったから」
「それもそうね………。自殺スポットに人が飛び込んでいたら、誰でも驚くに決まってるわ。―――今度からは、控えることにしようかしら」
「そうしてもらえると、助かります」
僕と彼女は、顔を見合わせて少し笑った。
なんでもアソコが自殺スポットとして有名になったのは、彼女の飛び込みを目撃する人が多発したせいらしい。
なんども同じ人が飛び込む訳ないでしょう、と彼女は言った。