人魚の涙 ~マーメイ・ドロップ~
『………以上で、校長先生のお話を終わります。一同、礼』
僕達は、あれから教室を出て、体育館にて入学式を行っていた。
アナウンスが体育館に響き、六十人に満たない程度の生徒が一斉に頭を下げた。校長先生の長くありがたいお話に、数名の生徒は、立ったまま眠りに落ちそうにしていた。
今、僕らは入学式を終えた。花で飾られた手作りらしいゲートを潜り、外に出た。
背を伸ばし、息を吐く。頭上では、木に止まった数羽の小鳥が囀り、羽ばたこうとしている。
数秒してから背伸びを終え、教室へと向かう。向かう足は、自然と速く進んだ。
―――何故ならば。
放課後に、美姫さんと一緒に学校を見て回る約束をしたからだ。浮かれた気持ちは、僕を宙に浮かしそうな程に膨らんでいた。異性と付き合ったことがないのでよく解らないが、デートとはこんな感じなのだろうか、と思ったりもした。
二倍のスピード程で教室の前に着くと、勢いよく扉を開けた。初めて教室に入った時よりも不愉快な音が辺りに響き渡ったが、僕は気にも止めず、彼女の名を呼んだ。
「―――美姫さん!」
体育館から先に出たのは女子からであったため、彼女は教室にいるはずだった………のだが。
彼女の姿は見えない。―――それどころか、僕の目の前さえ見えはしない。
「な…なに、これ………?」
僕の目の前に立ち塞がっていた壁―――もとい巨大な男子生徒は、ゆっくりと後ずさりしていく。後ずさりし、視界が開けた先には―――。
僕達は、あれから教室を出て、体育館にて入学式を行っていた。
アナウンスが体育館に響き、六十人に満たない程度の生徒が一斉に頭を下げた。校長先生の長くありがたいお話に、数名の生徒は、立ったまま眠りに落ちそうにしていた。
今、僕らは入学式を終えた。花で飾られた手作りらしいゲートを潜り、外に出た。
背を伸ばし、息を吐く。頭上では、木に止まった数羽の小鳥が囀り、羽ばたこうとしている。
数秒してから背伸びを終え、教室へと向かう。向かう足は、自然と速く進んだ。
―――何故ならば。
放課後に、美姫さんと一緒に学校を見て回る約束をしたからだ。浮かれた気持ちは、僕を宙に浮かしそうな程に膨らんでいた。異性と付き合ったことがないのでよく解らないが、デートとはこんな感じなのだろうか、と思ったりもした。
二倍のスピード程で教室の前に着くと、勢いよく扉を開けた。初めて教室に入った時よりも不愉快な音が辺りに響き渡ったが、僕は気にも止めず、彼女の名を呼んだ。
「―――美姫さん!」
体育館から先に出たのは女子からであったため、彼女は教室にいるはずだった………のだが。
彼女の姿は見えない。―――それどころか、僕の目の前さえ見えはしない。
「な…なに、これ………?」
僕の目の前に立ち塞がっていた壁―――もとい巨大な男子生徒は、ゆっくりと後ずさりしていく。後ずさりし、視界が開けた先には―――。