人魚の涙 ~マーメイ・ドロップ~
「隼はさ………ずっと、この島に住んでるの?」








僕は尋ねてみた。








「ん?あぁ、そうだな!ずっとこの島にいるぜ。―――だから、都会のモノってのが、珍しくてたまんねェのさ」








隼は僕の肩をがしっと抱き、豪快に笑い飛ばした。




………まだ僕は彼に対して潜在的に恐怖を抱いているようだった。

その証拠に、肩を抱かれた時に、体が露骨に震えてしまった。我ながら情けないと思いながらも、そんな意に反して体は正直に反応してしまう。








「へ、へぇ………そうなの?………じゃあ、大切に扱ってくれるはずだよね」

「勿論、任せとけって」








彼は胸をどん、と叩いた。男らしい豪快な奴だ、と思う。




僕達はこの短時間で随分と仲良くなった。

彼は見た目こそ恐ろしいものの、話してみると明るく気さくで、頼りになる人物なのだと感じた。

彼も僕にどうやら好感を抱いてくれたらしく、すぐに打ち解ける事が出来た。

僕はこんなに早く友達が出来たということが、嬉しくてたまらなかった。正直、島に来て友達は出来るのだろうかとか、僕は色々心配していたのだ。
そんな僕にとって、隼のような人を引き付けるカリスマを持ち、また誰とでも仲良く出来るような人物は、本当に助かる存在であった。
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