人魚の涙 ~マーメイ・ドロップ~
「あ………目、覚めた?」
―――この声は―――!
僕は声が聞こえると、反射的に声の出所であるだろうキッチンの方を見た。
「―――良かった、なかなか起きないから心配してたのよ?」
「あ、うん。ごめん………じゃなくて!なんで美姫さんが、僕の家に!!?」
大体、なんで家の場所がわかったんだ?
確かに以前家の近くまで送ってもらったことはあったが、住宅街に家なんていくらでもあるはずだ。
僕が質問しよう口を開けると、それを察してか彼女は先に説明を始めた。
「それはだって………お隣りさんだもの」
「………はい?」
お隣り、さん?
何を言っているんだ、美姫さんは。
僕は確かに住宅街に住んではいるが、そこは田舎の島。例え住宅街といっても、家の軒数は数える程しかなく、尚且つ僕の自宅の両隣には、空き地しかなかったはずだ。
理解出来ない、といった顔を、僕はきっとしていたのだろう。
美姫さんは僕を見るなり、呆けていた僕の腕を強く引き、急に玄関へと走り出した。
「ちょっ、あの………!どこに行く気!?」
ドアから飛び出そうとしている美姫さんに腕を引かれる僕は、意外過ぎるほどに強い彼女の力のおかげで体勢を崩し、靴を履けないでいた。
それに気づいた彼女は腕の力を緩め、靴を履き終わった僕を見てにやりと笑い、こう言った。
「私の家、よ」
―――この声は―――!
僕は声が聞こえると、反射的に声の出所であるだろうキッチンの方を見た。
「―――良かった、なかなか起きないから心配してたのよ?」
「あ、うん。ごめん………じゃなくて!なんで美姫さんが、僕の家に!!?」
大体、なんで家の場所がわかったんだ?
確かに以前家の近くまで送ってもらったことはあったが、住宅街に家なんていくらでもあるはずだ。
僕が質問しよう口を開けると、それを察してか彼女は先に説明を始めた。
「それはだって………お隣りさんだもの」
「………はい?」
お隣り、さん?
何を言っているんだ、美姫さんは。
僕は確かに住宅街に住んではいるが、そこは田舎の島。例え住宅街といっても、家の軒数は数える程しかなく、尚且つ僕の自宅の両隣には、空き地しかなかったはずだ。
理解出来ない、といった顔を、僕はきっとしていたのだろう。
美姫さんは僕を見るなり、呆けていた僕の腕を強く引き、急に玄関へと走り出した。
「ちょっ、あの………!どこに行く気!?」
ドアから飛び出そうとしている美姫さんに腕を引かれる僕は、意外過ぎるほどに強い彼女の力のおかげで体勢を崩し、靴を履けないでいた。
それに気づいた彼女は腕の力を緩め、靴を履き終わった僕を見てにやりと笑い、こう言った。
「私の家、よ」