人魚の涙 ~マーメイ・ドロップ~
「………しましょうね」

「え………?」

「物凄く、楽しい一日にしましょうね!」








僕が、噛まぬよう気をつけながらそう言い切ると、美姫さんは目を丸くした後で、ありがとうと言った。
僕達は目を合わせて、くすりと笑う。



彼女は僕に、手を伸ばしていた。

差し出された手を、僕はしっかりと握り、止まっていた川が流れ出すようにゆったりと動き始めた。












僕達は背中に吹きつける風を感じながら、互いの家へと向かった。言葉をそこから発することはなかったけれど、ずっと手を強く握っていた。
空から射す光を、とても気持ちよく感じていた。
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