人魚の涙 ~マーメイ・ドロップ~
僕は美姫さんの後ろに続き、下駄箱に入っていたシューズを取り出して踵を踏まないように気をつけながら、丁重に履く。まだ新しく、色落ちしていない青がなぜだかとても綺麗に見えた。
僕は、美姫さんが靴を履き終えているのを確認し、教室へと歩きだした。
僕達の教室は、一階にある。下駄箱からすぐの廊下の、一番奥だ………というと何やら長い距離に思えるかもしれないが、この木造建築のオンボロ校舎は、そんなに面積を有してなどいない。最奥まで、よくて10mといったところだった。
廊下の床の木は朽ち始めているのか、歩く度ぎしぎしと頼りない音をたてる。蛍光灯さえない道を、窓から注す朝日が照らしていた。
僕と美姫さんは、自分達の教室の隣にある空き教室を通り過ぎ、クラスの扉の前で立ち止まった。
僕が率先して扉を開けようとし取っ手に手を伸ばすと、その必要はないと言うかのように、勢いよく扉が開いた。
目の前に立つ男は朝から溌剌(はつらつ)とし、軋む扉の音を掻き消すかのような大声で叫んだ。
僕は、美姫さんが靴を履き終えているのを確認し、教室へと歩きだした。
僕達の教室は、一階にある。下駄箱からすぐの廊下の、一番奥だ………というと何やら長い距離に思えるかもしれないが、この木造建築のオンボロ校舎は、そんなに面積を有してなどいない。最奥まで、よくて10mといったところだった。
廊下の床の木は朽ち始めているのか、歩く度ぎしぎしと頼りない音をたてる。蛍光灯さえない道を、窓から注す朝日が照らしていた。
僕と美姫さんは、自分達の教室の隣にある空き教室を通り過ぎ、クラスの扉の前で立ち止まった。
僕が率先して扉を開けようとし取っ手に手を伸ばすと、その必要はないと言うかのように、勢いよく扉が開いた。
目の前に立つ男は朝から溌剌(はつらつ)とし、軋む扉の音を掻き消すかのような大声で叫んだ。