人魚の涙 ~マーメイ・ドロップ~
「おーす、皆おっはよー。今日は楽しい楽しい、遠足ですよっと。………まあ、特に言うことはないんだけどな。今日は勝手に楽しむように!以上!!」
先生は相も変わらずに落ち着きがなく、かったるいといった様子でホームルームを片付けると、ぱんぱんに膨れあがったザックを背負って足早に教室を出ていった。先生のザックからは酒の缶のロゴが見え隠れしており、その目は少年のように生き生きとしていた。改めて、駄目な大人だ、と感じた。
先生が嵐の様に去ってゆくと、僕達はいよいよ遠足へと行く準備を始めだした。
色とりどりのザックを互いに見せあいながら、一人、また一人と集合場所である玄関前に向かう為に、教室の扉をくぐってゆく。
僕も幼い頃からずっと使っている、少し色あせた赤色のザックを背負い、教室を見回した。教室には、既に僕と美姫さんしか残っていなかった。
「―――あ、ごめん、待った?」
「いいえ、全然。私も、今準備し終えたところよ………さ、行きましょ?」
僕は軽く頷き、歩き出した彼女の後ろについてゆく。廊下へ出てから、誰もいなくなった教室の扉を、ゆっくりと閉めた。
先生は相も変わらずに落ち着きがなく、かったるいといった様子でホームルームを片付けると、ぱんぱんに膨れあがったザックを背負って足早に教室を出ていった。先生のザックからは酒の缶のロゴが見え隠れしており、その目は少年のように生き生きとしていた。改めて、駄目な大人だ、と感じた。
先生が嵐の様に去ってゆくと、僕達はいよいよ遠足へと行く準備を始めだした。
色とりどりのザックを互いに見せあいながら、一人、また一人と集合場所である玄関前に向かう為に、教室の扉をくぐってゆく。
僕も幼い頃からずっと使っている、少し色あせた赤色のザックを背負い、教室を見回した。教室には、既に僕と美姫さんしか残っていなかった。
「―――あ、ごめん、待った?」
「いいえ、全然。私も、今準備し終えたところよ………さ、行きましょ?」
僕は軽く頷き、歩き出した彼女の後ろについてゆく。廊下へ出てから、誰もいなくなった教室の扉を、ゆっくりと閉めた。