人魚の涙 ~マーメイ・ドロップ~
新入生歓迎遠足。② ~アクシデント!~
玄関の外へ出ると、青く澄み切った空と、燦々と光る太陽が僕達を出迎えた。
いち早く外へと出ていた数えられる程度の全校生徒達が、嬉しそうにざわめいている。
僕と美姫さんは、自分達のクラスの列を探した。僕が左を向くと、隼が大きく手を振っていたため、見つけだすのにそう苦労はしなかった。
「………おーい、こっちだ、こっち!急げ急げ!!」
何をそう急いでいるのかは知らないが、隼は歩いて列へと向かう僕と美姫さんを見ながら、必死にそう叫んでいた。メガホンを手に持ち、生徒に指示を出していた先生が、怪訝な顔をするくらいの声量で。
「しーっ、声が大きいよ、隼。頭が痛くなっちゃうだろう」
「馬鹿、お前らがちんたらしてるからだろ!ほら、見ろ!!出発予定時刻まで、あと三分しかないぞ!!」
隼は頭から蒸気を発しそうな程に熱を帯びながら、校舎に掛けられた古めかしい時計を指さした。どうやら隼は、あの時計は5分早まっているのだと昨日僕に教えてくれたことを、すっかり忘れているらしかった。
しかし、今はそのような理屈は通用しそうにもなかったため、僕は謝罪の言葉を述べることにする。
「ちょっと準備に手間取ってさ。悪かったよ」
「うん、まあ、反省してるなら、よし。しかしだな―――」
「―――ありがと!それじゃ美姫さん、後ろに行きましょうか?」
「それもそうね。列に並びましょうか」
僕と彼女は、まだ何か言いたげだった隼を無視し、列の後方へと並んだ。
それとほぼ同時に、最上級生の列が、校門を潜り抜けた。
いよいよだね、と僕は彼女に言う。
彼女は頷き、喜びを隠しきれないのをごまかすように大きく深呼吸し、動き出した列に従って、歩きだした。
いち早く外へと出ていた数えられる程度の全校生徒達が、嬉しそうにざわめいている。
僕と美姫さんは、自分達のクラスの列を探した。僕が左を向くと、隼が大きく手を振っていたため、見つけだすのにそう苦労はしなかった。
「………おーい、こっちだ、こっち!急げ急げ!!」
何をそう急いでいるのかは知らないが、隼は歩いて列へと向かう僕と美姫さんを見ながら、必死にそう叫んでいた。メガホンを手に持ち、生徒に指示を出していた先生が、怪訝な顔をするくらいの声量で。
「しーっ、声が大きいよ、隼。頭が痛くなっちゃうだろう」
「馬鹿、お前らがちんたらしてるからだろ!ほら、見ろ!!出発予定時刻まで、あと三分しかないぞ!!」
隼は頭から蒸気を発しそうな程に熱を帯びながら、校舎に掛けられた古めかしい時計を指さした。どうやら隼は、あの時計は5分早まっているのだと昨日僕に教えてくれたことを、すっかり忘れているらしかった。
しかし、今はそのような理屈は通用しそうにもなかったため、僕は謝罪の言葉を述べることにする。
「ちょっと準備に手間取ってさ。悪かったよ」
「うん、まあ、反省してるなら、よし。しかしだな―――」
「―――ありがと!それじゃ美姫さん、後ろに行きましょうか?」
「それもそうね。列に並びましょうか」
僕と彼女は、まだ何か言いたげだった隼を無視し、列の後方へと並んだ。
それとほぼ同時に、最上級生の列が、校門を潜り抜けた。
いよいよだね、と僕は彼女に言う。
彼女は頷き、喜びを隠しきれないのをごまかすように大きく深呼吸し、動き出した列に従って、歩きだした。