人魚の涙 ~マーメイ・ドロップ~
―――彼女を、捜さないと。
僕は、慣れないながらも腕と脚で水をかきわけ、水中を泳いでいく。
流石に海水の中で目を開けるのは、塩水が目に入り痛いのではないか、と危惧していたけれど、馴れれば大丈夫だった。
辺りには海藻、魚、貝のへばり付いた岩等が、所々にちりばめてある。なんて幻想的で美しい風景なのだ、と感嘆した。
しかし、残念ながら今は風景に見とれている場合ではなかった。今は彼女を助け出すことが優先だった。
彼女の姿を求め、さらに周りを見続けると―――いた。
綺麗な黒髪がゆっくりと、それこそ海藻のように、水中でふわふわと揺れている。
僕は、彼女に近づく。僕はずっと平泳ぎをしていたつもりだったのだが、いつの間にか死にかけの虫のような動きになっていたことに気づく。
体制を立て直し、彼女に再び近付く。
伸ばした僕の手は、彼女の白い腕をしっかりと掴んだ。
さあ、引き上げよう―――。
そう思ったその瞬間、とてもじゃないが、信じられない出来事が起きた。
僕は、慣れないながらも腕と脚で水をかきわけ、水中を泳いでいく。
流石に海水の中で目を開けるのは、塩水が目に入り痛いのではないか、と危惧していたけれど、馴れれば大丈夫だった。
辺りには海藻、魚、貝のへばり付いた岩等が、所々にちりばめてある。なんて幻想的で美しい風景なのだ、と感嘆した。
しかし、残念ながら今は風景に見とれている場合ではなかった。今は彼女を助け出すことが優先だった。
彼女の姿を求め、さらに周りを見続けると―――いた。
綺麗な黒髪がゆっくりと、それこそ海藻のように、水中でふわふわと揺れている。
僕は、彼女に近づく。僕はずっと平泳ぎをしていたつもりだったのだが、いつの間にか死にかけの虫のような動きになっていたことに気づく。
体制を立て直し、彼女に再び近付く。
伸ばした僕の手は、彼女の白い腕をしっかりと掴んだ。
さあ、引き上げよう―――。
そう思ったその瞬間、とてもじゃないが、信じられない出来事が起きた。