カレカノ


朱希があたしを抱きしめる腕の力がほどけた。



「…悪ぃ…じゃな」



「朱希…あ…」



そう伝えると朱希は顔を伏せたまま部屋を後にした。


…―今の何で?



腕に残る朱希の温もりと残り香に今さら顔が真っ赤になって来た。



「……」



ずっとずっとそばにいたから、あんな風に抱きしめられるとどうしていいのか分かんないよ。



あたしが、朱希の事で頭がいっぱいになっているのを知らない慶太君からメールが入った音が聞こえた。


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