カレカノ

-元カレ-


あの日…―


朱希君は、私を追っては来てくれなかった。


頑張るよと柚葉には言ったけれど、もう駄目なのは分かってる。


追いかけて来なかったのも朱希君なりのケジメかも知れない…


柚葉を残して、屋上から出ると階段の下に朱希君がいた…


…―いると思ってた。


「……柚葉1人だよ」


「…うん」


朱希君が小さく頷くのを見て胸が痛んだけど、もう心は私にはないのを知っているから傷みは、すぐに癒えた。


…―私って意外と図太いんだ


「柚葉は鈍感中の鈍感だね?大変だね」


「あはは、そうなんだよな―…あいつは昔から鈍感だな」


「きっと朱希君は柚葉をずっとずっと好きなんだね?私を好きだった?」


「好きだったよ…でも…」

「柚葉の方がもっと好き?」


意地悪のつもりで聞いたのに朱希君は微笑んだ。


「じゃぁ…私行くね?」


「あ…あぁ…」


私は大好きだったよ…


朱希君が本当に好きだったから、柚葉の恋よりも朱希君の恋を応援したいの。


…―ごめんね柚葉
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